プライベートライアン a                                     a

プロが作った映画。
前半の上陸シーンよりあとは、やや息切れ感がありますが、戦場というものをちゃんと描けてると思う。
アメリカ映画にありがちな、正義の味方対悪者という感じがしないのも良い。
たとえどんな戦争でも、戦争を描く時は、飽くまで”戦争”を描くべきだと思う。そういう点で考えると、
この映画はちゃんと戦争を描いています。スピルバーグって才能あったんだ、なんて思ってしまいました。

 さて、ここからはミリオタ( ミリタリーおたく )的ツッコミです。まだ見てない人は読まないほうがいいかも。
この映画の舞台となっているのは、第二次世界大戦、欧州戦線。フランスが降伏し、ほぼ、ドイツ帝国の領土と化した
欧州大陸に対し、いよいよ、アメリカ、イギリス連合軍が本格的な反撃を開始した、ノルマンディー上陸作戦を描いた
映画です。冒頭の上陸シーンは、壮絶かつリアルで、どんなミリオタが見ても大満足の仕上がり。よく調べてます。
実際の上陸作戦では、連合国側に、5千人を超える死者、2万数千人の負傷者をだしました。
しかし、この犠牲者は、ほとんどアメリカが担当した、オマハビーチにおいて発生しました。カナダ軍やイギリス軍には
ほとんど犠牲者はでていません。なぜでしょう。
ノルマンディー上陸作戦は、ノルマンディー海岸を4つの作戦地域に分け、左から、カナダ軍、イギリス軍、アメリカ軍、
アメリカ軍というふうに割り当てられました。そして、一番右側のアメリカ軍が担当した地域が、映画でも描かれている、
後にブラッディオマハと呼ばれたオマハビーチです。
当時のドイツ軍は、海岸線に強固な防衛陣地を築き、敵の上陸部隊は、文字どうり水際で食い止めるという考え方でした。
しかし、この考え方の場合、敵に上陸地点付近の制空権や制海権を握られてしまうと、徹底的に爆撃や艦砲射撃などによ
って、陣地を破壊され、楽々上陸されてしまいます。実際、連合軍はそうしました。
しかし、オマハビーチにおいては、爆弾も艦砲射撃もことごとくはずれ、イギリスが開発した新型の上陸艇を採用せず、
それが原因で、戦車は自らの重さで沖に沈み、ドイツ軍の機関銃や迫撃砲をまともに喰らうことになってしまったのです。
ほんと、よく橋頭堡を築けたものです。

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